第168章 おいで⦅五条ver⦆
ギヒヒヒヒィ
ニタニタと笑いながら四肢を力任せに引っ張る気持ちの悪いナニか。
耐えられず離れ離れになる胴と、そこから流れる大量の血しぶき。
目の前で行われる残虐な行為に、なな は腰が抜け その場にガタガタと震えていた。
なぜこんな事になったのか分からない。
ペタペタと こちらに近づいてくるナニかに、なな は【死】を覚悟した。
その時、赤色の球体がナニかに触れ、消滅した。
「もう大丈夫だよ♪」
目隠しをして口角を上げている見知らぬ人。
なな は ほっとすると同時に先程までの恐怖に涙を流した。
『…ひッく………コワ…かっ……たぁ……』
ポロポロと溢れる涙を拭いながら、なな が そう言うと、目隠しの男は なな と視線を合わせるように しゃがんで よしよし と頭を撫でた。
「怖かったね。目の前であんな光景視たらトラウマもんだよね。
もう大丈夫だから」
『ぅ"~…っ……』
やっと落ち着きを取り戻した なな 。
『あの…。スミマセンでした…。
子どもみたいに泣いちゃって……』
泣き腫らした瞳を伏せながら、なな がそう言うと、目隠しの男は「気にしないで♪」と笑った。
「僕、五条悟。呪術師だよ」
急に自己紹介を始める目隠しの男に混乱しながら、なな も自己紹介をした。
『呪術師って何ですか?』
「この世は呪霊って呼ばれるモノが居るんだ。
呪霊は人間の負の感情や恐怖の感情から生まれるんだけど、普通の人にとっては悪なんだ。
人を不調にしたり、今みたいに事故にあわせたり、突然連れ去って神隠しにあわせたりする。
僕は そういう呪霊を祓う仕事をしてるの」