第167章 おいで⦅虎杖ver⦆
「………生きてること、黙っててスミマセンでした…」
なんとも言えない虚しい空気の中、虎杖は謝り、箱から出てきた。
そして、なな をチラリと見た。
釘崎と同じように目に涙を浮かべながら じっと自分を見る なな に、虎杖は頬をポリポリと掻きながら苦笑した。
「なな 、驚いた?」
アハハ、と聞けば なな は唇をぎゅっと噛み締めたまま大きく何度も頷いた。
「………黙っててゴメンな、なな 」
久しぶりに聞いた虎杖の声に、なな は自然と涙が溢れた。
なな の泣き顔に、虎杖は申し訳なさから心が締め付けられた。
「…ホントごめん」
そう言ってから虎杖は優しい笑顔で なな に向かって両手を広げた。
「おいで♪」
それを合図に なな は虎杖に ぎゅっと抱き付いた。
なな をしっかり両手で抱き締め、虎杖は「ごめんな」と言いながら なな の頭を何度も撫でた。
『…よか、ったぁ……
悠仁の バカぁ…………』
うわ~ん、と泣きじゃくる なな と虎杖の様子を伏黒は黙って見守った。
「オラ、いつまでイチャついてんだ。作戦会議すんぞ」
真希の言葉で2年生は先に控え室へむかい始めた。
「また なな のこと泣かしたら許さないからね!」
キッと虎杖を睨んで釘崎も控え室へ向かった。
「……俺も釘崎と同じだ。
なな のこと泣かすような事があったら ただじゃおかねぇからな」
虎杖にそれだけ伝え、伏黒も2年生たちの後を追った。