第161章 図書館⦅伏黒⦆
いつも静かな図書館。
静かに流れるBGM。
好きな本を選んで読書をする人、勉強をしている人それぞれだ。
なな は週末になると近くの図書館に行き、学校の課題や読書をしながら半日過ごすのが日課だった。
ある日、いつものように図書館に入ると窓際の席で小さな書籍を読んでいる黒髪の少年に目が行った。
⦅ 同い年くらいかな? ⦆
なな は課題に取り掛かり、残った時間で読書を楽しんだ。
気がつけば いつも黒髪の少年は図書館に居て、いつの間にか居なくなっていた。
いつものように図書館に入ろうとすると出入口で黒髪の少年と会った。
少年もこれから図書館を利用するようで、扉に手を置いていた。
「…毎週いますよね?」
扉に置いた手を離し、少年は なな に話しかけた。
『え? はい』
突然話しかけられた事に驚いた なな は一言だけ返事を返した。
「ぁ…、驚かせたなら悪かった…。
毎週、気がつくと居るから つい声をかけてしまって……」
申し訳なさそうに少年はそう言い、なな から視線を外した。
『あ、いえ。私も "毎週居るなぁ" と思っていたので、お話できて良かったです』
ふふ、と なな が笑うと、少年は なな へ視線を戻し「良かったら少し話しませんか?」と聞いた。
図書館の中では話す事ができないため、近くのベンチに腰掛け、お互いに簡単な自己紹介をして どんな本を読んでいるのかなど話をした。
少年は伏黒と言い、なな と同い年だった。