第12章 嫉妬⦅虎杖ver⦆
虎「イヤイヤ、アンタが その手 離して どっか行けよ…」
男の肩に置いた手に力を入れ、虎杖は男を睨んだ。
「ッチ!」
舌打ちをして男は やっと どこかに去っていった。
虎「なな、ゴメンな! 俺がついてたのに!!」
怪我ないか?、といつもの優しい虎杖が居た。
『…大丈夫…。ありがと』
助けてもらって嬉しいはずなのに、先ほどの虎杖と女の人の様子がちらつく。
虎「どぅした??」
『さっきの女の人……だれ??』
虎杖の顔を見ずに聞いた。
虎「さっき??」
『そこのベンチで話していたでしょ?』
虎「あぁ! 子ども連れて遊びに来ていた お母さん」
『…え??』
虎「ベンチに座ってたら、子どもが隣座って、そんで あっという間に子どもが滑り台やブランコで遊びだしたから、その子の母親がベンチで少し休憩してたの」
『まだ若そうだったじゃん』
虎「18で子ども産んだんだって。子ども小さいし、仕事に活かせるような資格も無いから、旦那さんには感謝してる、って言ってたなぁ」
初対面の人と よくそこまで話ができるなぁ、と関心する一方、『でも…』と なな は続けた。
『…あんまり 女の人と話して欲しくないな………』
虎「わかった、気を付けるよ」
ニッと笑って、「嫌な思いさせて ゴメンな」と、うつむいている なな の頭を撫でた。
『悠仁は、どぅして私と2人きりで出掛けてくれないの??』
虎杖の顔を見て、なな は不思議に思っていた事を直接ぶつけた。