第157章 面白くない⦅宿儺 現パロ⦆
宿儺と なな は同じ会社の先輩、後輩だ。
入社し、宿儺が なな の指導係になった時、なな はただただ不安しかなかった。
「宿儺くん、人相は悪いけど仕事はできるから しっかり教わるんだよ」
『はい…』
はじめの頃は宿儺の事が怖くて仕方なかったが、一緒に残業をしたりするなかで宿儺の優しさに触れ、なな はいつしか宿儺に恋心を抱いていた。
社内恋愛が禁止の会社ではなかったが、宿儺に自分の想いを伝える勇気がないまま1年が過ぎ、今度は なな が新入社員を教育する側になった。
⦅ 宿儺さんとの時間、少なくなるなぁ… ⦆
☆ ☆ ☆
なな の担当する新入社員は男性だった。
なな に好意があるのか、仕事以外の話をしてきたり、何かにつけて飲みに誘ってくる後輩になな はどうしたものかと頭を悩ませた。
ある日、昼休憩に行こうとすると宿儺から声をかけられた。
「昼、一緒にどうだ?」
『ありがとうございます』
自分のお弁当を持ち、宿儺はコンビニで買ってきたと思われる白いビニール袋を手に出掛けた。
「新人教育はどうだ?」
パンを噛りながら なな に聞けば、なな は『う~ん』と返事に困っていた。
「あの新人、お前に気があるんじゃないか?」
『からかってるんですよ、きっと』
苦笑しながら答えれば、宿儺は少しだけ間をあけてから聞いた。
「お前も あいつに気があるのか?」
『えっ?! そんな訳ないですよ!
私、好きな人いますし!』
なな の慌てぶりに驚いた宿儺だったが、少しだけ切なそうに眉を寄せて笑った。
「なら あまり新人にベタベタ触られるなよ」
ぽん、と なな の頭に優しく大きな手を置き、宿儺は「お先」と言って部署に戻った。
久しぶりの宿儺の温もりに なな は顔を赤くした。