第154章 充電⦅宿儺 ver⦆
『子ども扱いしないで下さい』
プイッとそっぽを向く なな だったが、裏梅が言うほど宿儺がイライラしていないと感じ、ふふ、と笑った。
正面で腰紐を押さえている なな に代わり、宿儺は1対の両手で器用に自身の腰紐を結った。
「できたぞ」
宿儺は なな が離れるかと思っていたが、そのまま抱き締められた。
「……どうした?」
少しだけ驚いたが、平然を装い そう聞けば、なな は宿儺の胸板に耳を預け満足そうに言った。
『離れていた分、宿儺さまを近くで感じているのです』
瞳を閉じ、宿儺の鼓動に耳を澄ます なな の細い体を抱き締めた。
強く抱き締めてしまえば折れてしまいそうな その体を宿儺は2対の両手で包み込んだ。
「逢えずに寂しかったか?」
『はい…。だからこうしているのです』
宿儺さまは寂しく無かったのですか?、と なな は宿儺を見上げた。
「言わずとも分かるだろう?」
なな を見つめる宿儺の瞳は「俺もだ」と言っているようだった。
『もぅ…、いつかちゃんと言って下さいね』
そう言う なな の おでこに宿儺は優しく口付けをした。
なな は満足そうに にっこり笑い『お疲れでしょう? 何か食べますか?』と聞いた。
2人で居間に行くと裏梅が お茶とお茶請けを用意してくれていた。
『裏梅さん も疲れていたのに ごめんね、ありがとう』
「大丈夫です。お茶をどうぞ」
「ん」
それだけ言って自分の場所に座る宿儺は先程までの苛立ちが消えていた。