第154章 充電⦅宿儺 ver⦆
「………………」
呪霊、術師の屍の山頂に立ち、眉間に皺を寄せたまま苛立っている宿儺を裏梅は静かに見つめた。
呪霊や術師の相手で屋敷に戻れない日が数日続いたのだ、無理もないかもしれない。
「ッチ…蛆のように湧いてくる……」
普段は鏖殺を楽しんでいる宿儺だが、さすがに飽きたようで舌打ちをした。
それから数日後、やっと宿儺と裏梅は屋敷に戻った。
『お帰りなさい』
着物に返り血がついている2人を なな が出迎えた。
その小さな体を宿儺は ぎゅっと抱き締めたあと、「着替えてくる」と言い なな を離した。
『裏梅さんも お疲れ様。
2人とも ご無事で何よりです』
「ありがとうございます。
…宿儺さまは かなりお疲れ様のようです。労ってあげて下さい」
裏梅は それだけ伝え、自身も着替えに向かった。
裏梅からの「宿儺さまは お疲れ」と言う言葉は、宿儺がイライラしていると言う意味をさしているため、なな は宿儺の部屋へ向かった。
『宿儺さま?
お着替え お手伝いしましょうか?』
そっと部屋に入ると、宿儺は「頼む」と言い、新しい着物を なな に手渡した。
大きな体の宿儺の腰紐を結ぶのは なな の両手では足りないため、落ちないように腰紐を押さえながら ぐるぐる と宿儺の正面に来ると宿儺が小さく笑った。
『何で笑うんですか?』
もぅ、と少し怒ったように聞けば、宿儺は なな の頭を優しく撫で、四つ目を細めた。
「子どものようだと思ってな」