第147章 指針⦅虎杖悠仁⦆
晴れ渡った青空を見上げて、虎杖は なな に言った。
「じぃちゃん、最期に "人を助けろ" って俺に言ったんだ…」
虎杖は唇をグッと噛み締めてから言葉を続けた。
「俺に、できるかな?」
『悠ちゃんなら出来るよ』
虎杖と同じように空を見上げて なな が そう言うと、隣から小さく しゃくり上げる声が聞こえた。
「…ッく…………っ…」
涙を止めるように虎杖は唇と拳を強く握り締めた。
『…悠ちゃんが正しいと思う事をすれば良いよ』
握りしめた拳の上から なな は優しく手を添えた。
「… なな ッ………ヒック……っく…」
それから虎杖は東京の高校に編入した。
なな と離れる事に抵抗はあったが、なな の近くに居てばかりでは精神的に強くなる事ができないと感じた虎杖は、ニッと笑って なな に「行ってきます!」と告げて仙台を去った。
虎杖は時折 なな に電話をしていた。
なな の声を聴くたび、自分の中のモヤモヤが晴れる気がしたのだ。
なな に危険な思いをさせないためにも、虎杖は なな に逢いたい気持ちを必死に抑えた。
***おわり***