第142章 味覚は似る?⦅五条⦆
食の好みが相手と合わない場合、どちらかが我慢が必要になる。
五条と同棲し始めて なな は思った。
五条の甘味センサーは異常だ、と。
女子であれば期間限定のスイーツや食べ放題は心ときめくものがある。
なな も五条と何度かスイーツの食べ放題や期間限定のスイーツを食べた事がある。
甘い食べ物には紅茶やブラックコーヒーでスイーツを食べていた なな だったが、目の前の五条はブラックコーヒーにドバドバと何十個もの角砂糖を放り込んだ。
『……………………それ飲むの?』
「そだよ♪」
フォークに一口分のケーキを差して五条は口に運んだ。
「甘さ控えめなクリームにフルーツの甘味が とっても美味しいよ♪
はい、なな ♪」
先程と同じように一口分をフォークに差して五条は なな の方へフォークを向けた。
「はい、あーん♪」
五条に促されるまま、ケーキをパクリ、と食べて なな は『美味しいね』と笑った。
なな の笑顔を見て、満足したように五条は笑うと砂糖たっぷりのコーヒーを口にした。
『甘いものに甘いコーヒーって合う?』
若干引きながら五条に聞けば、「飲んでみる?」と聞かれた。
既に口の中はケーキの甘さで満ちていた なな は首を横に振り、自分の紅茶を飲んだ。
『私も甘党な方だと思うけど、甘い食べ物の時は砂糖無しの飲み物の方が合うと思うよ?
糖尿病とか、体も心配だし』
そう言う なな に、五条は「大丈夫♪」と言った。