第141章 はじまりは⦅五条⦆
五条がデコピンのマネをすると、黒い小さな塊を消した事を見られていたと理解した。
『アレ呪いなんですね』
関心しながら なな は作業を再開した。
「ねぇ、月宮 さんて下の名前何て言うの?」
五条はニコニコしながら聞いた。
『⦅めんどくさ…⦆
個人情報ですよ』
ニコリ、と笑って そう返す。
『伏黒さん、また来るね』
作業を終えた なな は津美紀に声をかけ、ワゴンを押して病室を出ようとした。
「ねぇ、月宮 さん。
俺の事何とも思わないの??」
『…は?』
自分を指さしながら五条は言った。
「僕、イケメンじゃん?
何で 月宮 さんは僕の事 見に来ないの?」
『………………興味ありません』
笑顔を張り付け、なな が答えると、五条は「え~?」と唇を尖らせた。
「僕は 月宮 さんに興味あるなぁ♪
今度、病院の外で会わない?」
『…………⦅何コイツ⦆会いません』
先程と同じ対応を取る なな に、五条は「えー」と言い、続けた。
「僕、絶対 月宮 さんの事 彼女にするから♪」
『…………』
ニコニコと黙ったまま微笑んで、なな は口を開いた。
『うちの精神科は予約制ですから、ぜひ一度予約を取ってみたらいかがですか?』
それだけ伝えて なな は伏黒の病室を出た。
なな が五条と付き合うようになるのは もう少し経ってからのお話。
***おわり***