第136章 同じ香り⦅五条⦆
「五条先生と 月宮 さんって同じ匂いがする」
『え?』
虎杖の鼻の良さに驚く なな 。
『同じ柔軟剤でも使ってるのかな?』
冷静を装いながら虎杖に説明する様子を見て五条は口角を上げて見ている。
その様子を見ていた伏黒は何か気づいたようだったが、何も言わなかった。
「そぅなん? 色んな柔軟剤あるのに一緒とか珍しいね」
なな の言葉を素直に受け取った虎杖の笑顔に なな の良心はズキズキと傷んだ。
☆ ☆ ☆
その日の夜。
「ねぇ、なな 。そろそろ 皆に公表しても良いんじゃない?」
台所で食器を片付けている なな に五条が言った。
『虎杖にはウソつくような形になっちゃったけど、私と悟が付き合ってるのバレたら、私か悟が京都校行く事になるよ?』
同じ教師同士の恋愛は禁止されていたのだ。
「まったく、変なルールだよね。
別に教師同士付き合ったって良いじゃんね」
ぶぅぶぅ、と頬を膨らます五条に なな は『仕方ないでしょ』と苦笑した。
「じゃあ、僕が教師止めて術師に専念しようかな」
『そんな事できるの?』
なな は意地悪く笑って続けた。
『あの子たち(1年生's)と一緒に居る時の悟、スゴくイイ顔してるよ』
離れるなんて無理でしょ、と笑って言えば、五条は少し考えてから「無理かも…」と答えた。
『悟の目指す教育が根付いて広がっていくのを私も一緒に見守るよ』
それまではバレないようにしようね、となな は言った。
「…なな イイ子すぎ」