第132章 癒されたい⦅宿儺⦆
今日も今日とて蛆(うじ)の処理。
個々で殺(や)り合っても勝てぬと分かれば、束になって かかってきたり。…学習能力の無い者だ。
宿儺は満月を見上げ ため息をついた。
「………あぁ…つまらぬ」
『宿儺さま? お入りにならないのですか?』
月を見上げ、突っ伏している宿儺に なな は声をかけた。
「寝ていなかったのか」
『はい、お疲れ様でした』
返り血を浴び、血生臭い宿儺に なな はニコリ と微笑んだ。
宿儺は なな に吸い寄せられるかのように 縁側へ足を進め、なな を抱き締めた。
『宿儺さま??』
宿儺の大きな背中に手を回し、ななは首を傾げた。
「あぁ、すまぬ汚れるな」
なな から体を離そうとする宿儺の背中を なな は ぽん、ぽん、と優しく叩いた。
『かまいませんよ。汚れたら洗えば良いのです。
どうしました? 宿儺さま』
優しく、優しく、ゆっくりと。
宿儺の背中をリズムよく叩きながら、なな は宿儺に声をかけた。
「お前は不思議な奴だ、なな 」
なな の優しい声色と ゆっくりとした口調が宿儺の心を満たしていく。
「嫌ではないのか?
血生臭く、呪霊や人間をなぶり殺している俺が」
『戦っている時の宿儺さまは生き生きしていて私は好きですよ。
それに、血生臭いなんて感じた事なんて ありません』
予想外な なな の発言に、宿儺は驚いた後 ケヒッ と笑った。