第125章 視線の先⦅五条ver⦆
僕の視線はいつも みんなより少し高い。
周りのみんなを見下ろすのは気分が良かった。
でも、なな と逢って価値観が変わった。
なな は 小さな事にもよく気がついた。
『小さな花が咲いていた』とか『ココによく居る猫がいる』とか。
僕が知らない世界を教えてくれる。
「なな が見てる景色ってどんな景色だろうね?」
何気なくそう言うと、なな は『はぁ?』と言って笑った。
『悟って やっぱ面白い♪
急に何言い出すのかと思えば、私と悟が見てる景色は同じに決まってるじゃん』
クスクスと笑う なな に「そぅ?」といつも通り軽く答えた。
僕と なな が見ている景色は違う。
なな は優しいから、きっと鮮やかな景色でポカポカ春みたいな暖かさがあるんだろうなぁ。
僕は逆。
僕は冷たい人間だから見える景色は色褪せて見える。六眼のような冷たい色。
いつか なな と同じ視線に立って、同じ景色を見たいなぁ。
なな の優しさが、少しでも僕に移ればいいのに。
*おわり*