第120章 一緒に歩こう⦅宿儺 現パロ⦆
声を殺して涙を流す なな の様子を見て、宿儺はバツが悪そうに自分の頭をガシガシとしながら なな に近づいた。
『っヒック………、ヒック………ッ…』
下を向いたままの なな の腕を引き、宿儺は近くの公園へ入っていった。
「………その……………悪かった。
もう唇を噛むな。血が出るぞ」
なな をベンチに座らせると、宿儺は自販機で冷たいお茶を買ってきた。
「…詫びだ」
『………ありがと…………』
ぎゅっと噛み締めていた唇を開き、なな はお礼を言った。
「同じ方向でも逢った事が無かったから勘違いした」
宿儺はそう言うと、なな は『私、中学は女子校だったから』と答えると「なるほどな」と納得した。
「口、切って無いか?」
心配そうに、なな に聞く宿儺に なな は『大丈夫』と答えた。
それだけ話をすると宿儺は立ち上がり、「じゃあな」と言って公園から出ていった。
それから、学校帰りになると宿儺と帰る事が増えていった。
「俺が怖いか?」
2人で並んで歩いていると、宿儺は突然そう聞いてきた。
『最初の頃は怖かったよ』
素直にそう答えれば宿儺は「そうか…」と少しだけ しゅん とした。
『でも今は怖くない』
そう言って宿儺を見れば、宿儺は照れたような顔をしている。
『こうやって一緒に歩いてくれるし、たまにジュースも おごってくれるしね♪』
170近くある宿儺は1歩が大きい。
それでも帰り道は なな の歩幅に合わせ、ゆっくり隣を歩いてくれている事を なな は知っていた。