第118章 きっかけ⦅伏黒⦆
伏黒と なな は小学生の頃に五条を通して知り合った。
五「この子は なな 。僕の遠い親戚なんだけど、恵と同い年だよ」
お互い警戒していたが、伏黒の玉犬の可愛さに なな は表情を明るくした。
『スゴいね!』
年が近い子で視える側の人に会った事の無かった伏黒は驚いた表情をした。
五「中学を卒業したら お互い高専に入るから同級生になるね♪」
それから、なな はたまに五条についてきては玉犬を可愛がっていた。
津美紀とは違った感情で なな を見ている事に気付いたのは、伏黒が高専に入ってからだった。
☆ ☆ ☆
中学を卒業し、お互い高専に入学した伏黒と なな 。
なな は変わらず玉犬を可愛がった。
そのため伏黒は なな が元気が無かったりすると、玉犬を出現させた。
『恵くんは もう2級だもんね。スゴいなぁ』
ある日、なな は玉犬の頭を撫でながらそう言った。
『私は反転術式しか出来ない…。
自分だけじゃ闘えない』
「……俺は反転術式が使えない。
闘えるのが偉いわけじゃないだろう?
なな と家入さんは貴重な人材だと思ってる。
2人が居るから俺は安心して任務に出掛けられるんだ」
伏黒は なな にそう言った。
「俺たちは自分にできる事をすれば良いんだ」
『…そぅだね』
納得してないような返事の なな の頭を伏黒は くしゃくしゃ と撫でた。
「俺も玉犬も、なな の味方だ」
そう言って優しく微笑む伏黒に、なな は顔を赤くして『ありがと』と呟いた。