第116章 恋心⦅虎杖悠仁⦆
中学3年の時、初めて虎杖くんと同じクラスになった。
虎杖くんは いつも輪の中心に居た。
ピンク色の髪の毛でケンカが強い、と噂になっていたから知らない人は居ないくらい有名だった。
虎杖くんは人を傷つける冗談や悪ふざけは絶対にしなくて、そういう事をした人には「それは違うだろ」と自分の意思をしっかり伝えていた。
グループワークとかで、たまたま虎杖くんと話をする機会があったが、ホントに裏表の無い人だった。
隠れファンが多いのも納得だ。
3学期での席替え。
運良く虎杖くんの隣になった。
くじを引いた時は、『やった!』と内心ガッツポーズをしていたが、いざ隣に虎杖くんが居ると緊張する…。
挨拶だけで何も話しかける事が出来ない私に、虎杖くんのコミュニケーション能力の高さに驚かされた。
それから自然と虎杖くんとの会話も増え、もともと抱いていた恋心というやつは鼓動を早めた。
『…虎杖くんは どこの高校行くの?』
できれば虎杖くんと同じ高校へ進学したい、そう思い、虎杖くんに聞くと、虎杖くんは少し悩んでから「第三高校かな」と教えてくれた。
第三高校なら私でも狙える高校だった。
『そっか。お互い受験頑張ろうね』
そう話をして、無事に高校も決まった。
「同じ高校だな」
ニッと笑って話しかけてくれる虎杖くんの笑顔に胸が高鳴った。
卒業式。
幼い顔立ちを残したまま前髪を上げ、普段と少し違う雰囲気の虎杖くん。