第113章 反抗⦅伏黒⦆
だが、なな は自分の事も津美紀の事も本気で心配してくれていた。
『恵や津美紀ちゃんが帰ってくる場所は ちゃんとあるよ』
なな は昔の頃のように笑って伏黒を見た。
伏黒は小さく、ふ、と笑った。
「保護者面すんなよ
……津美紀の事、頼んだ」
なな は一瞬キョトンとしていたが、『うん! うん!』と何度も頷いた。
「なな が幼馴染みで良かった」
椅子から立ち上がり、なな の横を通りすぎながら伏黒は優しい口調でそう言った。
「家に戻って少し寝る。
津美紀 頼むわ」
『任せて♪
ちゃんと寝るんだよ! ご飯もちゃんと食べるんだよ!』
「はいはい」
ひらひらと片手を振って伏黒は津美紀の病室から出ていった。
☆ ☆ ☆
「あれ~? なんか御機嫌そうだねぇ♪
何かイイ事でもあったの、恵」
真っ黒なサングラスをかけ、伏黒のことを「恵」と呼ぶ人物に、伏黒は「別に」と素っ気なく返事をした。
***おわり***