第113章 反抗⦅伏黒⦆
『恵、どうして人を殴るの?』
切なげな表情をして そう言うのは なな 。
「……、うざ。
津美紀といい、なな といい何なんだよ…。保護者面すンな」
ギロッと なな の事を睨み、伏黒は校舎の中へ消えていった。
なな は近所の幼馴染み。
責任感の強い なな は、津美紀と一緒に保護者面する、ただそれだけだった。
中学に入り思春期を迎えれば、津美紀や なな への反発も生まれる。
暴力はダメだ、という2人に嫌気がさしていた。
⦅ 俺の何を知ってるってんだよ… ⦆
その日も学校で自分より弱い立場の相手を見下し、楽しんでいる不良を見かけた。
「…お前らホント何回言っても分かんねェのな」
はぁ、とため息をつきながら近くに居た不良の1人をボコる。
「イヤ…、違うんだって。
ちょっと遊んでただけだから」
しどろもどろにそう言う不良を無視し、1人を多数で囲っている不良達を殴り付ける。
「伏黒、さん…、アレはいいんスか?」
ボコられた1人が廊下から見える体育館の裏を指差した。
見れば なな が他の女子に取り囲まれるようになっている。
「…なんだアレ」
「伏黒さん、女子の間で人気あるんスよ」
不良Aはそう言うと「はぁ?」と伏黒は呆れた声を出した。
「それと なな と何の関係があるんだよ」
イラついたように不良Aに聞けば、不良Aは「たぶんですけど」と言って続けた。
「2年のお姉さんは仕方ないにしても、何の関係もない なな が伏黒さんの近くに居る事が気に食わない女子たちが あぁやって なな の事 囲ってる事があるんスよ』