第90章 時の流れ⦅五条⦆
『ちょっとゴメンね』
そう断りを入れ、なな は五条の目隠しを取り、まじまじと五条を見た。
五「なに? どぅしたの? キスでもする?」
エヘヘ、と笑いながら なな に顔を寄せてくる五条の口に、『キスしないよ』と言い、なな は続けた。
『…表情変わったよね♪』
ジッと五条を見て、ニコリと笑いながら そう言うと、五条は少しだけ照れながら「そぅ?」と聞いた。
『百鬼夜行の頃は何も感じないような冷たい眼だったけど、最近は優しい眼になった気がする』
高専学生の頃から五条と共に過ごしていた なな はそう言った。
五「…あの頃は色々あったからね…」
誰を思い出しているのか、五条は眼を伏せそう答えた。
五「今の生徒はホントにみんなイイコだよ」
『そぅだね、みんな仲間想いのイイコ達が揃ってるね』
死ぬか生きるかの呪術師の仕事。
馴れ合いだけでは やっていけない現実があり、個々のパワーアップは必須だ。
しかし今年の1年生は平均が高い水準にあり、すぐにでも独り立ちできてしまいそうだ。
『教員になって良かったね♪
生徒を見てる悟の雰囲気って "親" みたいな感じだよ♪』
そう言う なな に、五条は「そぅかなぁ」と言ってから、ニヤリと笑い、なな の腕を掴んだ。
五「早くホントの父親になりたいな♪」
綺麗な顔が なな に迫り、キスをする。
『ぇ"? そんなつもりで言ったのでは無いのデスが…』