第84章 お酒の飲み方⦅五条⦆
普段は五条がどんなに頼んでも『恥ずかしいから』と言って名前で呼ぶ事のない なな に、五条は気を良くし「今度はカクテルでも飲みに行こうか♪」と笑った。
翌日。
五条は なな に今度の休日にbarに行こうと誘ったが、なな から拒否された。
五「え? 何で? 昨日、違うお酒も飲みたいって言ってたよね?」
そう なな に確認すると、なな は申し訳なさそうに口を開いた。
『実は…、昨日、ワインを飲んでからの記憶が無いの』
えへ、と苦笑する なな 。
『ひと口飲んで、飲みやすくて つい調子に乗っちゃったのか、気づいたら朝でした…』
五「僕の事を名前で呼んでくれたのも覚えてないの?」
呆然としながら なな に聞くと、『え?! 名前で呼んだ?! ゴメンね、先生!』と何故か謝られた。
五「いやいや、謝らなくて良いよ。
むしろ恋人同士なんだから名前で呼び合うのが普通だと思うけど…覚えてないんだ……」
シュン…、と肩を落とす五条に、なな は『ゴメンねぇ』と申し訳なさそうに言った。
五「しばらく お酒は飲めないね」
五条は なな にそう言うと、なな は五条の目を見て言った。
『お酒、少しずつ飲み方覚えるから、また お酒一緒に飲もうね、悟!』
五「え? 名前…」
顔を赤く染めながら、自分の名を呼ぶ なな にキョトンとしていると、なな は『少しずつ、名前呼ぶようにする』と下を向いた。
『まだ恥ずかしいけど、恋人同士だもんね』