第81章 愛情表現⦅五条ver⦆
ある時、なな は五条に別れを告げた。
『悟、私たち別れない?』
最近では毎日のように なな の部屋に居座る五条。
なな の言葉に五条の雰囲気が変わった。
五「……何言ってるの、なな」
ベッドに寄りかかっていた体を起こし、五条は低い声で なな にそう聞いた。
『ごめんね。でも、悟の束縛は異常だよ』
そう答える なな の頬に手を添え、五条は言った。
五「僕から離れられると思ってるの?
僕の何が不満なの?」
自分の頬に添えられた五条の手は、どこか冷たいように感じ、なな は『私のワガママなの』と答えたが、五条は目隠しを下げ空色の綺麗な瞳で なな を見てニコリと笑って言った。
五「僕は なな の全てを愛してあげる。だから、なな も僕の全てを愛してくれるよね?
別れるなんて認めない」
五条の言葉にゾクリとし、なな は寒くも無いのに体が小刻みに震え出した。
『悟? どうしたら私を解放してくれるの??』
五「ずっと一緒に居るって約束したよね。僕から離れるなんて許さないよ。
僕、自分から誰かを好きになったのなんてはじめてだから、この恋はきっと純情だよね」
そう言って五条は綺麗な顔で笑った。
人の想いはさまざまだ。
純粋な想いが正しいオモイというわけではない。
*おわり*