第78章 壁ドン⦅五条ver⦆
自分も授業をするため、授業の時間も把握しているし、同じ職場のため なな の任務の有無も把握している。
今日、なな が授業終了後 任務が入っていない事ももちろん知っているワケだ。
『電話した方が早いな』
ヤキモチ妬きの恋人に電話を鳴らすと、部屋の外から着信音が響いた。
『え?』
電話を切らずに居ると、五条が電話に出て「開けてー」と言った。
急いで扉を開けると、右手にお土産のお菓子を持った五条が立っていた。
『早かったんだね』
驚きながら そう言うと、五条は いつものように「あがっていい?」と聞いた。
『どうぞ』
と部屋に招き入れ、鍵を締める なな の背後から五条の腕が伸び、扉に手をついた。
『どうしたの?』
五条の方に体を向ける なな に、五条はただ黙って なな を見た。
『…連絡出来なかったこと怒ってる?』
おおよそ検討がついていた なな がそう聞けば、五条は少し低い声で なな に聞いた。
五「怒るの分かってて何で連絡しないかなぁ?」
『ごめんね、1年生と放課後出掛けてきた』
五「なな は僕の恋人でしょ?」
そう言う五条に、なな は『そうだよ』と笑う。
なな の笑顔に、怒る気力が無くなってしまった五条は、小さく「なな はズルい」と言った。
五「……今度は僕も入れた みんなで出掛けようよ」
『そうだね』
大好きな なな の笑顔を見れば、自分の子どもっぽいヤキモチで嫌われたくないと思ってしまう五条。