第77章 壁ドン⦅虎杖ver⦆
ガタン ガタン、と電車が揺れる。
通勤通学ラッシュを避けた時間帯の任務のはずなのに満員電車。
虎「やっぱ都会の人口は多いなぁ」
出入口付近で なな に話しかける。
『まだ2駅もあるのに…、人減るかなぁ?』
プシュー…、と扉が開くと、出ていく人、そして入ってくる人。
人口密度は変わらない。
『そもそも何で今日に限って電車移動なの?』
虎「伊地知さんは五条先生の送迎、新田さんは遠方任務の伏黒の送迎だってさ」
いつの間にか反対側の扉まで移動していた2人。
満員電車のため、なな を扉側にし、虎杖が なな の前に立った。
揺れる電車のため、人とぶつかり易く虎杖は「ちょっとゴメンな」と言って、なな の顔の両脇の壁に肘をついた。
虎「さすがに何かに捕まってないと ヨロけるな」
虎杖の事なので、無意識に壁ドンしているのだろうが なな は虎杖との距離の近さに下を向いた。
やっと目的駅に着いたが、今度は降りるのに一苦労だ。
ぎゅうぎゅうの中をかき分けるため、離れないように虎杖の制服の端を握っていると、ギュ と手を握られた。
虎「降りまーす!」
すんません、と言いながら人をかけ分けながら、なな の手を引っ張っていく虎杖に、なな は黙ってついていった。
無事に降りる事ができ、なな は虎杖にお礼を言った。
虎「俺との任務イヤだった?」
急にそんな事を聞く虎杖に、なな は『そんな事ないよ?』と答えた。