第54章 頭ぽんぽん⦅虎杖ver⦆
同級生の虎杖悠仁は、仙台の杉沢第三高校で普通の生活をしていたらモテてたと思う。
だって、普通に優しいんだもん。
いつもパーカーを着ているから分かりにくいけど、がっちりしたその体は無駄な脂肪は無い。
天与呪縛によるものと思われるが運動神経がメチャクチャ良い。
この間だって、受肉した呪霊の攻撃をかわすために野薔薇を抱っこしたまま高速で走ったらしい。
高専は学年ごとの人数が少ないため、恋愛感情どぅのこぅの言うより、「家族」みたいな感じで お互いを尊敬している。
『私も お姫さま抱っこされたかったなぁ…』
誰も居ない教室で、ポツリ と なな は小さく呟いた。
冬に備え、葉を落とした木々たちを なな は ぼーっと見つめた。
「なな ? 何してんの??」
声がした方に顔を向けると、虎杖が立っていた。
「部屋に戻っても すること無いからココ(教室)で ぼーっとしてた」
いつも通り虎杖と話をすると、虎杖は なな の近くまで来て椅子に腰かけた。
虎「なな はいつも最後まで教室に居るよな」
『自分の部屋に戻るのがイヤなの
誰も居ないから』
虎「兄妹居るんだっけ??」
『そぅだよ
お兄ちゃんとお姉ちゃん。いつも お兄ちゃんかお姉ちゃんが近くに居てくれたんだけど、非術師の家庭から ナゼだか私だけが呪力を持ってたんだよね…
で、高校は半強制的に高専に入学させられちゃったワケ』
お兄ちゃん達に会いたいなぁ、と呟くと虎杖は優しく なな の頭をぽんぽん した。