第53章 頭ぽんぽん⦅宿儺ver⦆
宿「ケヒ、俺の生得領域に勝手に入ってきたのは お前が初めてだ なな」
宿儺は骨の山の頂点に足を組んで座り、頬杖をついたまま なな を見下ろした。
見下ろされた なな は首を傾げた。
『宿儺が呼んだんじゃないの??』
宿「違うな。偶然 波長が合ったのかも知れぬな」
なな は『そっちに行ってもイイ?』と聞いた。
宿「…登って来れるのか?
…ケガをしても知らぬからな」
足場の悪い骨の山を少しずつ登って来る なな だが、グラッ と足場が崩れた。
『あ…』
体制を崩した なな の体は後方へ ゆっくり倒れ、元居た位置へ戻ろうとしている。
痛みを覚悟した なな は ぎゅっ と目を閉じた。
『…………痛くない?』
そっと目を開けると、宿儺が なな を横抱きしていた。
宿「だから言ったのだ、馬鹿者め」
そ…と なな を下ろし、宿儺は近くにあった骨に腰をかけた。
『ありがと…』
宿「話がしたいのならココに来い」
宿儺は自分の隣をポンと叩いた。
『うん♪』
宿儺の隣に腰を下ろし、なな は笑った。
宿「お前はネコみたいだな」
『何それ、褒めてるの?』
宿「突き放せば 構え と寄ってきて、相手をしてやれば上機嫌に喜んでいるではないか」
なな の頭を ポンポン としながら、宿儺は口角を上げて笑った。
初めて見る優しい笑顔の宿儺に、なな はドキッ と心臓が跳び跳ねた。
『その顔で頭ぽんぽんは反則でしょ』
顔を染め 宿儺から視線を反らした なな は小さく呟いた。
*おわり*