第34章 仲間⦅五条⦆
狡猾さ。
知性をつけた獣は時に残酷な天秤を突きつけてくる。
命の重さをかけた天秤をね。
いつか五条が言っていた言葉。
☆ ☆ ☆
「ギギギギギ…」
ニタァ…と呪霊が笑い なな の右腕を持ち上げ、軽々と空へ放り投げた。
⦅…あ~……私コイツに殺されるんだな…⦆
なぜ このような状況になったのか。
それは数時間前に遡る。
『ココですね』
呪霊が居る現場に案内してくれた伊地知に聞くと、詳細を説明してくれた。
伊「はい。見ての通り廃校です。
報告によると呪霊は3級くらいかと思われます」
『了解』
高専に入ったばかりの頃。
実地試験も兼ねて1人で派遣された廃校。
近くの墓地には五条、反対側のアパートの廃墟には夏油が それぞれ派遣され、同じように実地試験が行われていた。
伊「他の2人も始めたようです。
頑張って下さい、なな さん」
他の窓の人と連絡を取っていた伊地知が、なな に声をかけ、なな は廃校へ向かった。
中には低級がそれなりの数いたが、適当に祓い、対象である3級を探した。
2階の教室を回って確認していると、子どもの姿が見えた。
⦅アレかな?⦆
なな は静かに呪霊との距離を詰めていく。
「あーそーぼ♪」
そこには女の子が立っており、その周りには呪力が流れていた。
⦅…これが…3級……?⦆
てっきり不気味な姿をした呪霊だと思ったいた なな は戦闘意欲を削がれてしまった。
「お姉ちゃん、ナニして遊ぶ?」
呪霊は笑った。