第4章 アラン=クロフォード
戴冠式も終わり晴れて夫婦となった私とアランだったが、ひとつ心配なことがあった。
それは食事のこと。
今は公務が忙しくなかなか手料理は作れないが、少し落ち着いて来たらやはり妻として夫に料理を作りたいと思っていた。
しかし、以前アランが手際良く作ってくれた料理はとても美味しくて、城下にいるときはお菓子作りくらいしかしなかった私は不安を覚えていた。
勉強の最中レオと一緒に書庫を訪れていた私はレシピ本を見つけて思わず手に取って読みふけってしまっていた。
レオ「なに?料理?」
はっと顔を上げると後ろからレオが覗き込んでいる。
キャリー「アランってお料理上手だよね。」
レオ「うーん。両親を無くしたのが早かったのもあるし…好きみたいだよね。」
キャリー「アランに食事を作ってあげたいんだけど自信がなくて。」
私が胸の内を話すとレオが思いがけない提案をした。
レオ「アランに教えてもらえばいいんじゃない?」
キャリー「え⁉︎」
驚きに目を見開くが、アランと一緒に料理をすることを考えるとドキドキしてきた。
レオ「明日は2人で休みでしょ?天気悪いみたいだし丁度いいんじゃない?」
私はレシピ本をそのまま部屋に持ち帰った。
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その夜。
ベッドの中でアランに料理を教えて欲しいとお願いしてみる。
アラン「別にいいけど、何作るんだよ。」
キャリー「アランの好きなものって何?」
アランは少し考えると答えた。
アラン「唐揚げ、ハンバーグ、グラタン、パスタ、オムライスってとこか。」
…お子様ランチみたい…
思ったことは胸に秘めておく。
キャリー「んー、じゃあハンバーグと…野菜…シーフードサラダは?」
アラン「いいね。」
満足そうに頷くと「ポテトもつけて。」と付け足した。
我慢出来ずに吹き出すとアランが少し赤くなる。
アラン「な…なんだよっ」
キャリー「だってアラン、子供みたいなんだもん。」
アラン「お前が好きな物言えって言ったんだろ!」
それから何か思い出したように起き上がると私に覆いかぶさる。
アラン「一番好きな物忘れてた。」