第1章 ジル=クリストフ
宣言式から一ヶ月。
めまぐるしい程に忙しい日々が続いていた。
お祝いにサロンを開いてくれる貴婦人の元へ行ったり、隣国への挨拶。その為のドレスのフィッティングなど、想像をはるかに越えるものだった。
それは次期国王に任命されたジルも同じことで彼は更に国王として目を通す書類が机の上に山積みにされていた。
夜、僅かな時間を過ごすことが出来るものの、ゆっくりと話をする時間は到底持てなかった。
そんな中、教育係代理のレオが嬉しい知らせをくれた。
レオ「明日は丸一日休みになったよ。ここ一ヶ月、よく頑張ったね。」
キャリー「ありがとう。」
見上げて笑顔で応えるとレオが屈んで耳元に顔を近づける。
レオ「ジルも一緒だから」
キャリー「えっ‼︎」
思いもよらない言葉に目を瞬かせる。
レオ「じゃあね。」
レオはニヤッと笑いながら執務室のドアを出て行った。