第9章 山崎退《ツンとデレは4:1で》
二月六日は、俺の誕生日。
俺はある一大決心をして、○○を大江戸遊園地へと誘った。
俺が忙しいせいで、会えない日が続く時もあった。
いや、今現在そうなんだけど。
このままだと、○○の心が離れそうで……。
だから、俺は決めたんだ。
――明日、○○にプロポーズする!
一ヶ月前からもらっていた非番。
大事な、貴重な、めったにもらえもしない、非番の日。
俺の誕生日にプロポーズをして、○○の誕生日に結婚式を挙げる。
それが俺のシナリオ。そんな俺のシナリオは……
「非番の所、悪いが明日は市中見廻りを頼む。明日から二週間程度は、監察総出で攘夷志士の動向を探ってもらいたい」
当日を迎えることなく頓挫した。
二月五日、昼下がり。
局長に呼ばれ、言われたのはその言葉。
江戸付近で高杉一派と目される人物の目撃情報があったとか何とか。
何も俺の誕生日に江戸に現れることはないじゃないか。
というか、本当に現れたのか? 間違いなんじゃないのか?
あんな奴等に俺の一大決心を邪魔されてたまるか!
クリスマスプロポーズ作戦に失敗した俺に次はない!
三度目の正直? いや、二度あることは三度ある!
と、思ってしまう弱気な俺。
だから、二度目で決めてやる!
《ツンとデレは4:1で》