第22章 あなたの青に触れさせて《後編》◉鷹見啓悟※
「到底認められません」
生徒の活動に支障が出ます、そう言って目の前のジト目が俺を一瞥する
応接室の硬いソファの上、無理矢理上げた口角がそろそろ震え始めそうだ
「うむ、だが彼女ほどの適任が居ないのも事実なのさ」
「さっすが根津校長、話が早くて助かります」
公安の新規担当案件、特殊なケースに立ち会える経験豊富な心理カウンセラーを必要としている
類似している過去の事件の被害者カウンセリングを担当したのが、雄英着任前の彼女だったのだ
「カウンセラーなら公安専属だって幾らでも居るはずだ」
「あーなるほど、この際彼女を公安専属にするってのも」
「あ゛?」
テーブルを挟んだ向かいでイレイザーが俺を睨み付ける
友達になれる気は到底しないが、醸し出す殺気にはシンパシーを感じているからだろうか、考えていることがお互い筒抜けのような居心地の悪さがある
食えない人だホント、それは向こうにとっても同じなのだろう、そんな事を考えながらテーブルのグラスに手を伸ばした
「それは当たり前にダメなのさ!」
「分かってますって」
長い針が一つ進むと部屋中に響いたチャイムの音、ああ早く彼女の顔が見たい
連絡先も交換せず見送った日から約一ヶ月、俺は今日のために生きてきたと言っても過言ではないんだから
「生徒への影響はもとより、彼女にとってもこの条件は厳しいと思うが」
「どういう意味です」
「勤務地の話だ」
知らないのか、あいつは極度の、その言葉の続きを聞かないうちに静かに開いた扉
お呼びでしょうか、そう言ってちらりと顔を覗かせた彼女は丁寧にお辞儀をしてイレイザーの横に腰掛けた
「・・っ、ホークス、お久しぶりです・・」
「水臭いなぁ、あんなに仲良くなったじゃないですか」
また啓悟って呼んでくださいよ、イレイザーを見つめて声を発せば部屋を満たす凄まじい殺意、思わず笑い声が出そうになる