第7章 ・
──きもちが、わるい。
頭を、骨の内側から殴られ続けているようだ。
内臓がねじくれて、めちゃくちゃな位置に収まったような吐き気。
関節は勝手に縮こまって、そのままうつぶせに倒れこむ。
寒い。寒いのに、体の中は焼けるように熱い。
えづく。だが何も出てこない。
どうにもならないと知っているのに胸を掻きむしる。
悶えて身じろぐ物音は、ただ本棚の間に吸い込まれていく。
「ここ、図書館棟だけど、厳密には図書館棟じゃないんだよね」
だから、暴れても誰も来ないよ。
柔らかな声がした。
生理的な涙で視界がにじむ。
かろうじて見える人影は、夕日の色を背に、ゆっくりと歩み寄ってくる。
床に積もった埃が西日に輝いて、しかし、それをきれいだと思う余裕すらない。
そうだ、俺、俺は、黒子っちに呼び出されて。
なのにどうして、コイツが──
「だめだこれ、落とせないな。食い込んでる」
混乱と怒りでぐちゃぐちゃになっているこちらに構わず、
声の主が傍らにしゃがむ気配がした。
視界いっぱいに銀が広がり、それが先ほど己に振るわれた剣だと理解する。
俺は、斬られたのか。
再び刀身が持ち上げられる。
せめて回避を試みようと目で追うが、身体をかき回され続けている感覚は消えない。
「まあいいや、また今度にしよう」
落胆を含んだ言葉とともに、その切っ先が振り下ろされて──