第9章 ラジ王子の訪城
「何しに来るわけ?」
木々は嫌そうな顔をうかべたままゼンに聞くと
「兄上が招待したんだよ」
ゼンは、イザナが言う言葉を思い出していた。
(まぁいずれは
関わっていかねばならないだろう
興味がなくとも
そろそろ相手を知らないと
あちらには
親睦を深めたいと言っておいたよ)
書類を片手にサラッと言うイザナ。
「あの人のことだ
それだけとは思えん」
真剣な顔をして言うゼンに、ミツヒデが言葉をかける
「・・・ゼン
さっき、白雪に会ったぞ」
「・・・白雪に」
ゼンはミツヒデの方を見た。
「そう。
とりあえず早く戻れよ
机が書類で埋まってたぞー
あと、読めって本が10冊以上」
ミツヒデと木々は寝室の扉へ向かい、ゼンを置いて出ていこうとした。
「なっ!?
だっ・・・
全部目ぇ通したぞ!?」
「次だってさ
整理しといてやるから」
バタンっ
(~~~~~
兄上・・・
あの鬼・・・!!!)
イザナがゼンの部屋に新たに仕事を置いていく姿が容易に想像できるゼンだった。
(・・・俺だけで
済んではいない・・・)
「白雪をどうしたい
兄上・・・」
そう呟くゼンの言葉は、誰にも届かなかった。