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progress ~東リべ卍~R18~

第32章 rear




「・・・」


「・・・」



いつまで経っても降ってこない拳に、
万次郎が恐る恐る目を開こうとした時だった。




トン



「え…」



万次郎が目を開けると、
真顔の三ツ谷が、万次郎の頭に手を置いていた。



「俺に殴られて、どうしたいの」


「……。」


「それでなんか、解決すんの」


「……。」


「…お前だって分かってるよな。本当は。」




万次郎が口を噤むと、
三ツ谷は眉をひそめて悩ましい笑みを浮かべた。




「俺はさ…殴って欲しいって言ってる奴を
望み通り殴ってやるほど親切じゃねーよ。
元々お前の気持ち…分かるし…分かってたし…」




そう言って三ツ谷は手をおろし
視線を落とした。




「でも俺の気持ちは…知らねぇだろ…」


「…え?」


ボソッと呟いたその言葉はほとんど聞こえなかった。



「それにマイキー、お前はさ…
俺に殴らせて、自分の罪悪感軽くしてぇんだろ」


「…違う。別にそういうわけじゃ」


「でも、次は許さねぇからな」


眉を寄せる万次郎の瞳と、
真剣な三ツ谷の眼光が交わる。



「2度目はねぇから。」



……。

普通許さねぇだろ。
許しちゃダメだろ…


やっぱり三ツ谷はカッケェ男だ。

男の俺から見ても。


だから俺なんかより、
ランが惹かれるのは当然だ。





「……わかった。」



万次郎は静かにそう言い、
バブに乗って去っていってしまった。



「はー……」


三ツ谷はその背を最後まで見つめながら、
震える拳を必死に押さえ込んでいた。








第32章 rear ーFinー
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