第31章 reaction
防波堤に座り込みながらたいやきを取り出した。
「…お前も海に逃げてぇのか?
……ウン…スイ…スイスイ」
ボーっとたい焼きを見つめながら1人遊びをする。
たまに、なにもかもどうでもよくなることがある。
なにもかもを放り出して逃げたいなんて
そんなことを思う時が。
誰にも言えない俺の弱音を
誰かにぶちまけたい時もある。
それが適わないから
どっかに逃げたいなんて思う時が…
「たい焼きくんてさ、最後どうなるんだっけ?」
突然のその声に横を向くと、
白い髪をしてマフラーを巻いている青年がいた。
「……さぁ?忘れた。てか誰?」
「俺は黒川イザナ」
カランっとピアスが揺れた。
イザナはチラリと止めてあるバブを見て微笑んだ。
「いいバイク乗ってるね」
「………。」
「また会おう」
「?」
イザナと名乗った青年は
何事も無かったかのように行ってしまった。
第31章 reaction ーFinー