第29章 rapture

ちゅ


｢え…｣


飛び終わった瞬間に
三ツ谷に一瞬のキスをされていた。


何事も無かったかのように
三ツ谷はまた他の人たちと喋っている。


わー…///
なに今のなに今の…！

相変わらずズルいよ隆って…


新年初のキス……


今年もこんなふうに
彼に翻弄されていくのだろうか…



｢行こう｣


突然三ツ谷に手を引かれ、
参拝しに行く。


両手を合わせて同時に目を瞑った。


｢今年もずっと、隣に隆がいますよーに…
浮気したら殺します…｣


｢っ…｣


こいつ…
声に出てること気付いてねーだろ…！


三ツ谷は一生懸命祈っているランを横目に顔を引き攣らせてから、目を閉じた。


今年もランがこうして俺の隣で元気に笑ってくれていますように。

それから…ルナもマナも母ちゃんも…



パッと目を開けると、


｢っ！！｣


息が止まりそうになった。

なんと目と鼻の先でランに顔を覗き込まれていた。


｢な、なんだよっ｣


ちゅ


｢へ…｣


｢ふふんっ、お返し。行こ！｣


一瞬のキスをしたあとの満面の笑み。


クソ…なんなんだよこいつマジで…！
可愛すぎるだろ…！
やべえ死にそう…
そもそもこいつといると
ガチで心臓止まりそうになること多い…。


俺、今年無事生きてられるかなー…



今年もこんなふうに俺は…
ランに翻弄されていくのだろうか。