第28章 recollect*
「毎回毎回、結局煽ってんのはお前なんだよラン」
「ち、え、たか、隆だって結構煽ってるんだよ?
気づいてないのかもしんないけど!」
そういう色っぽい仕草も、眼差しも、
声も、吐息も、筋肉バキバキの腹筋とか、
優しい手つきとか、舌とか、…全部全部…
ランはいろんな三ツ谷を思い出してしまい、目を逸らしてパクパクと料理を口へ運んだ。
「でも隆…さっきの言葉…嬉しかったよ。
いつか本当にそうなれたらなって思うよ。」
"産みたきゃ産んで。
したら俺、ぜってぇ良い父親になれるよう努力するし…ぜってぇ子供に苦労させねぇように寂しい思いさせねぇように、頑張るからさ"
三ツ谷は思い出したのか、少し気まずそうに笑った。
「俺もいつか、叶えてぇって思うよ、ホントに…」
その言葉に、ランはキュッと胸が締め付けられる感覚がした。
「初詣、一緒に行こ?」
「おう!」
もしかしたら、お願いごとは一緒かな…?
そんなことを思いながら
幸せを噛み締めた2人だった。