第23章 rebel
「そんな畏まるなよみんな」
ニコニコと笑顔を向ける稀咲は、どこか別人に見えた。
その後なぜか、タケミチと千冬だけを別室に呼ぶ。
「俺らも随分長い付き合いになったよな。
東マンに入って12年。
今でもあの時の仲間たちでこうやってつるんでられるなんて思ってもみなかった。」
朗らかにそう言う稀咲はゆっくりと続けた。
「タケミチ、千冬…
俺のことどう思ってる?恨んでるだろ?」
「え?」
「ちょうど12年前のこれぐらいの時期だったな。場地が死んだのは…。あれは全部俺のせいだ。血のハロウィンは俺が仕組んだ。」
「「!!」」
タケミチも千冬も目を見開いた。
もちろん知ってる…
知ってるけど…なんでわざわざ自分から?
「半間を使い、羽宮一虎を丸め込み、バルハラという組織を作った。そして東マンにバルハラをぶつけた。」
「…なんのためにそんなことを?」
「力が欲しかったんだ。
賞賛される功績が欲しかった。
俺がこの抗争を収めれば大半が俺にひれ伏す…
場地が死ぬとは思わなかった…
本当だ。千冬。すまなかった!」
深々と頭を下げる目の前の稀咲は真剣だ。
「ずっとこうして謝りたかった。
12年経ってわかったんだ…
大切なのは、仲間だ。」
「……あのときのこと、後悔してるんですか?」
タケミチの言葉に、稀咲は顔を上げて寂しげに笑った。
「忘れたことなんてなかったよ。」
そう言って酒をグラスに注ぎ出す。