第1章 radical
私、
月乃 ラン が
佐野家に来たのは8歳の時。
物心ついたときから母は父に酷いDVを受けていた。
母は私に危害が及ばないように
ひたすら私を庇い、守っていた。
でも、私はずっと思っていた。
どうしてやり返さないの?
なんで、されるがままなの?
なんで、言いなりなの?
…分かっているからだ。
女はいくら頑張ったって、
男の力には適わないんだと。
だったら、こうして耐え忍ばなくてはならないのか?
永遠に?
私はそんなの絶対に嫌だ。
男は大嫌いだ。
男は皆、悪だ。敵だ。
私がどんな男よりも強い女になってやる。
何があっても泣かない。
何があっても負けない。
母は死ぬ間際に私にこう言った。
「あなたは強くなりなさい。
私みたいになるんじゃないわよ…」
私は、母に守られてばかりだった。
だから私は誓った。
守るだけじゃない。
闘える女に、私はなる。
どんな強い男にも屈しない。
誰よりも強い女になる。