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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第54章 佐助の不安


謙信は物憂げに考えに耽(ふけ)り、しばらくしてから口を開いた。


謙信「その集落と内地を繋ぐ船は?」

佐助「聞いてみましたが魚をとる舟のみで、海を渡るような大きな船はないそうです。
 ただしこの辺の港まで行けば時々船がでているとか。
 数年前外国船が流れ着き、修理のためしばらく停泊していたという話ですから、大きな港だと思います」


佐助が示す場所を見て謙信は難しいというように息を吐いた。

地図上で越後と安土の距離を確かめ、首を横に振った。


謙信「徒歩でこの距離を行くのは結鈴には酷だ。
 その集落に馬は居ないのか?」

佐助「農耕用の馬が数頭。それを集落で共同利用しているようでした。買い取るのは難しいと思います」

謙信「北国であれば冬も早かろう。結鈴を連れて徒歩となると、移動できる距離はたかがしれるな」

佐助「ええ。しかしここでは冬は越えられません。越後よりも寒い冬がきます。
 まず俺が見つけた集落まで行きましょう」


謙信は眠る三人を静かに見遣り、頷いた。


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