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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第53章 天命


光秀に気が付くと信玄の後ろに身を隠し、恥ずかしそうに顔だけ覗かせた。


結鈴「みつひでさん、お散歩どうだった?どこか痛くない?」


光秀は微笑んだ。

先程までの冷徹な表情は消え、別人のようだ。

謙信達とほとんど口をきかないが、結鈴だけは例外で話もするし、時に笑いかけたりもする。

あからさまな態度の違いに信玄はヤレヤレと苦笑を浮かべている。


光秀「折れた手首以外はもう大丈夫だ。
 明日はもう少し遠くまで散歩できそうだ」

結鈴「そっかー。怪我が治って良かったね、みつひでさん」


頬を赤くしてふにゃりと笑う顔が舞と重なり、光秀は愛おしげに頭を撫でた。


信玄「遠くまで行くのはいいが、必ず帰ってこいよ。無理は禁物だ」


信玄が光秀の背を軽くぽんっと叩くと、光秀はうっと息をつめた。

結鈴が『どうしたの?』という顔で見ている。

背中の傷は新しい皮膚が形成されたばかり。
歩けるようになったが、触れると痛む。

光秀はジロリと信玄を睨んだが、それ以上は何も言わず洞窟の中に入っていった。


結鈴「信玄様、みつひでさんを苛めないでね?」

信玄「光秀が無理して動かないように、釘を刺しただけだ。苛めちゃあ、いねえよ」


小さな体をヒョイと横抱きにする。
結鈴はこの抱き方をするといつもご機嫌になる。


信玄「ところで結鈴は光秀と話す時、どうして恥ずかしそうに隠れるんだ?」

結鈴「だってみつひでさん、カッコイイんだもん。
 格好良すぎてソワソワしちゃうの」


えへへ、と頬を赤くして結鈴が笑った。


結鈴「ずっと会ってみたかったんだ~」

信玄「なんでだ?」

結鈴「んー?ママのお話だとね、みつひでさんは意地悪なんだけど、とーっても優しくて思いやりがあって、かっこいい人なの。だから会ってみたいなぁって」


無邪気な答えに信玄はそうかーと笑いかけた。


信玄「それは初耳だ。いいか?パパにそのことは秘密だ。
 パパがヤキモチをやいて怒るかもしれないからな」


信玄は人差し指をたてて『内緒』のポーズをとると、結鈴はうん!と頷いた。


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