第52章 新たなる出会い
(光秀目線)
いつまでも立ち去らない秀吉と三成に踏ん切りをつかせるため、崖に身を投じた。
落下する風切り音に混じって秀吉の叫びが聞こえたような気がしたが、それも一瞬のうちに聞こえなくなった。
(行け、そして天下をとれ。下の者の痛みがわかるお前なら、必ず太平の世を築ける)
ざざざ!ばきばきっ!
木に激突したのだろう。身体に衝撃がはしった。
光秀「っつ!即死できんとは、今までの業か…」
(まあ、束の間の命だ…すぐに死ぬ)
木にぶら下がったまま何気なく目を開けると、鉛色の空に混じり黒い雲が見えた。
相も変わらずザーザーと大粒の雨が落ちてきて、怪我を負った身体を容赦なく濡らした。
カッ!!
黒い雲から眩い光がこちらに向かってきた。
妙に頭が冴えている。
(雷に打たれて死ぬとは散々な最期だ)
真っ白になった視界に意識が沈んだ。