第48章 現代を楽しもう! ❀龍の眠る場所 R-18❀
(謙信目線)
明後日に出立の日を控えた夜。
俺達はいつ終わるともわからない、激しい情交を結んでいた。
むせ返るような甘い空気の中に二人の香が交じり合う。
喘ぎっぱなしの舞の声が掠れている。
今夜は散々焦らし、絶頂を与えていない。
薄茶の愛らしい目が、高みへ登らせてくれとずっと訴えている。
「あ、謙信様っ…」
謙信「っ、舞」
間近で見つめ合っていると、舞が何を求めているのかわかる。
謙信「駄目だ、お前の腹に入っていた器具はすでにない」
舞が腹に入れていた器具は500年前に戻るからと抜去してきた。
産後に増えたという月のモノの出血量が気になったが、抜去して月のモノが来る前に旅立ちを迎える。
出立の日が急に決まったから仕方がなかったが、些か心配の種だ。
(帰ったらすぐ、血の道に詳しい医者を手配しなければ)
それにしてもこの時代の医療には驚くばかりだ。
ここ一年、毎夜注いだにも関わらず、舞は子を孕まなかった。
(孕んでも良いと…最近は思っていたのだがな…)
離れていた5年を埋められたわけではないが、4人で時を過ごし、家族として絆を深められたと思う。
7日間長屋で過ごしただけでは知らなかった舞をたくさん知れた。
知った上でやはり愛しいという気持ちは変わらず、そればかりか愛しすぎて本当に死ぬのではないかと思う程だった。
(愛している、何度伝えても伝えきれない)
舞と交わっているといつもこの想いに駆られる。
好き、愛しい、愛している。どの言葉でも伝えられない想い。
それを伝えられる唯一の手段が舞の胎内に子種を吐き出すことだった。
馬鹿なことを、男のあさましい本能だと笑う己がいる。
だが二つの身体を1つにつなげ、最後の瞬間まで溶け合わせると、『伝えられない』『伝わらない』と焦れた気持ちが満たされるのだ。
謙信「愛している、舞……心の底から」
「私も謙信様を…愛してます、ん、はぁっ…」
(やはり、伝えきれない)
言葉は届き、愛らしい声で私も…と返してくれているにも関わらず、だ。
焦燥に襲われながら舞に手を伸ばす。