第45章 現代を楽しもう! ❀姫の心配❀
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「はぁ、ちょっと休憩っ!」
腕を天井に伸ばして伸びをする。
戦国時代なら『はしたない』と言われそうな動作も、この職場では日常よくある風景だ。
同僚「舞、居残って何作ってんの?」
「あ、これ?凄くお世話になった人がいるから、お礼に着物を仕立てようと思ってるんだ」
同僚「男物だね。この生地はシンプルだけど、着る人を選びそうだよ。大丈夫なの?」
「そこはばっちり。なんでも着こなす人だから大丈夫」
同僚「へぇ、で、こっちのこれは何?」
「裏地として部分的に使おうと思ってるんだ。これは手縫いじゃないと綺麗に仕上がらなさそう」
同僚「そうね。わざわざこの生地使う意図は?」
「うーん、珍しいものが好きな人なんだ。これを裏地に使ってる着物なんてないでしょ?」
同僚「そうだけど、手入れとか大丈夫なの?」
「そこも大丈夫。傍仕えの人がいっぱい居るから」
同僚の目が、生地から私へと向けられた。
同僚「傍仕えの人がいっぱい?舞の知り合いってセレブかなんか?」
「あ、えっと、セレブ?っていう括りかわかんないけど、お世話してくれる人が周りにいっぱい居る人なの」
安土城の信長様付きの女中さんや小姓、針子部屋を埋めていた針子の人達の顔が思い浮かんだ。
同僚「ふーん。でも、その感じだと贈り物の相手はご主人じゃなさそうだね。
みつかったらやきもち妬かれない?」
「う……だから家じゃなくて、ここ(職場)で居残りさせてもらってるんじゃない。
この着物の相手は私にとって家族みたいなんだ。お父さんみたいな?」
同僚「もしかして『パパ』なの?」
「え?」