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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第43章 現代を楽しもう! ❀謙信様の杞憂❀



(謙信目線)


――場所は図書館


語学レッスンを受けた後、いつものように図書館に立ち寄った。
季節は廻り初夏を迎えたが図書館の中は常に適温に保たれている。



昨日借りた本を返し、続きの本を借りようと目当ての書棚に向かう。
図書館には読み切れない数の蔵書があり、毎日こうして通っても興味をひく本が後を尽きない。

最近は英語で書かれた本も読めるようになり猶更読みたい本が増えた。


謙信「…」


気まぐれに目をやった書棚に気になるタイトルの本があった。
後学(こうがく)のためにこのジャンルは学んでおいた方が良いと判断し、予定を変更してその本を手に取った。

桃色の拍子に柔らかな線で母子の絵が書かれているそれは「妊娠・出産の基礎知識」というタイトルだ。


謙信「……」


俺は一時の感情にものを言わせ、舞を孕ませてしまった。それ故にお互い辛い思いをして、二度と会えないと絶望した時期もあった。

もう同じ轍(てつ)は踏まない。

舞と共に居るために、舞を傷つけないためにこの本の情報は必要だ。

その本に引き込まれるように内容に目を通す。
知っていた知識もあったが、大半は知らぬ内容だった。

500年前は母乳を介して母から子へうつる病があるなどと知られていない。

それを考えるとあの時代の乳母制度とは危険なのでははないか。


(やはり500年後ともなれば女の身体のことも詳細に解明されているな)


出産に夫が付き添うなどと信じられんなどと感心しながら読んでいると、ある箇所で手が止まった。


謙信「……っ、な、これが事実なら舞は…」


本を半ばまで読んだところに気がかりな……俺達の将来に関わってくる内容が書かれていた。


謙信「舞がこれを知らぬはずがない。なら、なぜ……」


本を勢いよく閉じた。
図書館に着いて30分しか経っていないが帰らなくては。

急いで荷物をまとめ、図書館を出た。
今日は早上がりだと言っていた舞の顔が浮かぶ。

早く会って確かめたい。


謙信「本の情報が事実なら帰るのをあと一年延ばさなくてはならぬな」


外に出た途端、暑気が身体にまとわりつく。

しかしそれを感じぬほど、俺は心急(こころせ)いていた。


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