第37章 現代を楽しもう! ❀北の旅編❀
(姫目線)
春が待ち遠しい2月半ばの頃
謙信「……」
信玄「……」
お二人が息を殺すように外を見ている。
窓ガラス越しに見えてるのは羽をもつ大きな……
龍輝「わぁ、本物だ!僕飛行機に乗るの初めて!」
結鈴「ホントにお空飛ぶの?」
「うん、ほら、あの飛行機が今から飛ぶんだよ、見ててごらん」
二人の目線に合わせてしゃがみ、遠くを指差す。
奥の滑走路をゆっくりと飛行機が進んでいく。
加速した機体が浮き上がり高度を上げ、あっという間に小さな点になってしまった。
飛び去った飛行機に見惚れる間もなく、違う方角から飛行機が着陸してくる。
信玄「頻繁に飛行機が行き来しているが、誰が統制をはかっているんだ?」
佐助「飛行機の離着陸を指示する人達が管制塔という所に居ます。
コンピューターを駆使し、飛行機のパイロット、つまり運転手とやり取りしながら指示を出します」
信玄「なかなか神経を使いそうな仕事だな」
佐助「そうですね。一歩間違えば大事故になりますし」
謙信「……話には聞いて飛ぶ原理はわかったが…あのように大きな鉄の塊が空を飛ぶなどと、にわかに信じがたい」
(なんだかお二人とも、凄く真剣だな……)
カルチャーショックなんてものじゃないだろうなと思いつつ、普段動じない二人の姿にクスっと笑いがこぼれた。
軽やかな音楽が流れ、女性のアナウンスが流れた。
「あ、私達が乗る飛行機、搭乗開始のアナウンスが流れたよ」
龍輝「やった!早くいこう!」
「はいはい」
新人選手3人がベテラン勢をことごとく突破し、表彰台を飾ったフェンシングの大会。
協賛していた大手旅行会社から賞品として贈られたのは、国内旅行券や北海道ペアの旅だった。
せっかくだからと全員で行く事にして、北海道旅行の計画を立て、今まさに空の旅へと向かうところだ。
戦国時代の北海道は正確な地図もまだ作成されておらず、大半の土地が開発されていなかったそうだ。
その北海道が今や日本の食料自給率のトップになっていると知り、謙信様達は大いに驚いていた。
特に謙信様は、越後よりも厳寒の地がどのように発展したのか旅行前に熱心に調べていた。
「さあ、行きましょう。謙信様」
狭いシートに窮屈そうに座り、ちょっぴり深刻な顔をしている二人を乗せて飛行機は北へと飛び立った。