第35章 現代を楽しもう! ❀お寺編❀
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設計図や手紙は速やかに大学教授へ渡り、後に世間に発表された。
まるで昨日書かれたような状態で見つかった書は、当初偽物ではないかと疑われらしい。
けれど年代測定をしたところ500年前に書かれたものだと判明し、筆跡鑑定も行われ、礼状の筆跡は謙信様のものだと断定された。
その結果に、歴史ファンが注目する大ニュースとなった。
どのように保存していれば劣化しないのか新たな議論を呼び、また生涯不犯を誓った上杉謙信が想いを寄せた『一国の姫』とは誰のことか。
憶測が憶測を呼び、にわかに謙信様ブームが巻き起こった。
連名で書かれた人達の中には、のちに有名になっていた人もいれば、無名だったけど新たに作品の良さを認められ評価が上がった人も居た。
いずれも作品と作り手が一致したことで、文化財的価値はあがったそうだ。
戦国武将の中でも1,2を争う人気を誇る謙信様が建てたお寺だと判明し、参拝客が増え、寄付の申し出が絶えなかったという。
その後、土壌整備という口実のもと例の場所を掘り起こしたところ、毘沙門天が発見されて猶更騒ぎは大きくなった。
『調査が終わったら『決して離れることがないよう』本尊の隣に祀ることにします』と、テレビのインタビューでご住職が答えていた。
自宅でそのニュースを見て、私と謙信様は肩を寄せて笑い合った。