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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第32章 眠り王子に祝福の…を


勢いよく扉が開いて二人が入ってきた。遅れること数秒、音もなく謙信様が現れる。

起きている信玄様を見て、二色の瞳が大きく見開かれた。


謙信「信玄…?」

結鈴「わーーー!起きてるっ!」

龍輝「信玄様が起きた!」


子供達はベッドに乗り上げる勢いで飛びつき、喜びをあらわにした。
謙信様は持っていた荷物を置くと静かに歩み寄ってきた。


謙信「信玄、寝すぎだ。さっさと起き上がって俺の相手をしろ。
 病に邪魔されず、思う存分刀が振れると思うと心躍るぞ」


剣呑な言葉とは裏腹に表情は柔らかだ。
この1か月、謙信様は何も言わず、ずっと信玄様を案じていた。


信玄「やれやれ、素直じゃないのは相変わらずだな。少しはお前の子供達を見習え。
 結鈴、龍輝、心配かけたな」


信玄様は重そうに腕を動かし、二人の頭に手を置く。


「そうだ、看護師さんに声かけなきゃ。あ、佐助君に電話!」

信玄「姫、ゆっくりでいいぞ。王子様は目覚めたからな」

謙信「……おうじ、とはなんのことだ?」

「っえ?あ、なんでもないです!」


もう!と信玄様を軽く睨んで、笑う。



大きな心配事がなくなったことで、久しぶりに心の底から笑うことができた。


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