第31章 パパなんて嫌い
謙信様が無言でショックを受けているのが、おかしくてたまらない。
龍輝「佐助君って格好良いね!僕も忍者になりたい!」
追い打ちをかけるように龍輝の声が響き、謙信様が肩を震わせているのが見えた。
「……ぷ」
謙信様に申し訳ないと思いつつ笑いが口から漏れてしまった。
フォローした方が良いかなと思った時、謙信様に抱っこされていた結鈴が
結鈴「でもパパが一番かっこいい。だーい好き。えへへっ」
そう言って謙信様の胸元の服をキュッと掴み、嬉しそうに頬ずりした。
謙信様から不機嫌な影は一気に消え、頬がみるみる赤みを帯びた。
「結鈴って意外とあざといのかな…」
信玄「あーあー、軍神の名も形無しだな、ありゃ」
佐助「謙信様を知る人が見たらひっくり返りそうな場面ですね」
龍輝「ママ―!お腹すいた!」
「あ、そうだった。すぐ作るね」
リビングに広がる賑やかな風景が宝石のように輝いて見えた。