第26章 不義
佐助「それで謙信様はどうしたんですか?」
信玄「そうだぞ、なに一人で怒り狂ってんだ?」
謙信「子が…、あいつには子が居るっ!少なくとも二人っ」
佐助・信玄「「はっ!?」」
二人が瞠目して言葉を失っていると遠くで声がした。
??「そろそろ時間だね。先に玄関に行って靴を履いていてくれる?」
子供にそう言う女の声がして、こちらにいそいそと歩いてくる足音がした。
謙信、信玄、佐助が状況を整理する前に襖の向こうで気配が止まった。
??「失礼します。どなたか起きていらっしゃいますか?」
遠慮がちに声をかけられた。
謙信は茫然として答える術を持たず、佐助も同じだった。
信玄「ああ、おはよう。全員起きているよ」
信玄がそう答えると襖がゆっくりと開いた。
そこには謙信が恋焦がれてどうしようもなかった舞が座っていた。