第25章 3人で…
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(?目線)
飲まず食わずになり、死にかけていたという君は
ワームホールに飛び込んだ瞬間、何を思っただろうか
生きたいと願った君は
身に迫った死の気配を必死で振り払っただろう
容易く手に入れられそうでそうではない
押さえ込まれた身体をどける力はなくとも、内に持っている強さは思いの外強かった
君はきっとその強さで死を打ち破っただろう
君が放つまっすぐな輝きは、俺の心を打ち、浄化してくれるようだった
見事に俺を押し返したかと思えば、そっと傍に寄り添い励ましてくれた
俺に触れた手の優しさが忘れられない
未来を諦めていた俺は君に会って変わった
たとえ君が謙信の隣にいようとも、見守れればそれで良かった
『生きたい』と天に祈った
皮肉なことに俺が居る場所は生と死の狭間
光あふれる生の世界より、真っ暗で何も感じない死の世界が近い
はっきりと感じる
濃い…死の影を
舞…
ワームホールの中で君は泣き、謝り、愛を囁いただろう
わかるよ
俺も同じだ……
生きたい
行きたい
君の笑う姿をひと目見るために…
君が育った桃源郷のような国へ…